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WindowsからNASの共有フォルダが見えない:SMBの名前解決・認証・バージョンを確認する順番

公開 2026-10-14読了 7 分

Photo: Budget Bizar / Pexels

この記事でわかること
WindowsからNASの共有フォルダが見えない・開けないときに、IPアドレス直打ち→445番ポート→認証→SMBのバージョンと署名の順で原因を切り分ける手順です。Windows 11 24H2のゲスト禁止と署名必須の影響も扱います。

先に結論です。Windows から NAS の共有フォルダが見えないときは、次の順番で確認すると原因を早く絞れます。

  1. エクスプローラーのアドレス欄に \\NASのIPアドレス を直接打って開けるか(名前解決の問題かどうか)
  2. NAS の 445 番ポートに通信が届いているか(経路・ファイアウォール)
  3. 認証が通っているか(ゲスト接続・保存済みの資格情報)
  4. SMB のバージョンと署名が合っているか(SMB1 しか話せない NAS、Windows 11 24H2 の署名必須)

「ネットワーク」に NAS のアイコンが出ないだけで、IP アドレスを打てば開けるなら、使ううえでは困りません。

「見えない」がどの状態かを先に分ける

「見えない」と一口に言っても、中身は3つに分かれます。どれに当たるかで見る場所が変わります。

症状主な原因見る場所
「ネットワーク」に NAS が出てこない検出(WS-Discovery)NAS の設定・Windows のネットワーク探索
\\NAS名 では開けないが \\IPアドレス なら開ける名前解決DNS・hosts・IP アドレスの固定
IP アドレスでも開けない、エラーが出る経路・認証・SMB445 番ポート・資格情報・SMB の設定

まず、アドレス欄に \\192.168.1.20 のように NAS の IP アドレスを打ってみてください。IP アドレスは NAS の管理画面か、ルーターの DHCP の一覧で分かります。

一覧に出てこない件から片付けます。現在の Windows は、NAS を「ネットワーク」に並べるのに、古い SMB1 時代の仕組み(コンピューターブラウザー)ではなく WS-Discovery という仕組みを使うとされています。NAS がこれに応答していないと、共有は使えるのにアイコンだけ出てきません。

  • Synology:コントロールパネル > ファイルサービスの中にある WS-Discovery(Windows ネットワーク検出)の項目を有効にします。DSM の版によって置き場所が違うことがあります
  • OpenMediaVault:WS-Discovery 用のサービス(wsdd)が標準で動くとされています。SSH で systemctl status wsdd* を実行し、動いているかを確認します

Windows 側では、設定 > ネットワークとインターネットで、つないでいるネットワークを「プライベート ネットワーク」にしておきます。「パブリック」のままだとネットワーク探索が無効になり、一覧に出てきません。

もっとも、一覧に出すことにこだわるより、ネットワークドライブとして割り当ててしまうほうが毎日の使い勝手は良いと私は考えています。エクスプローラーで「PC」を開き、上部の「…」から「ネットワーク ドライブの割り当て」を選んで \\IPアドレス\共有名 を指定すれば、ドライブ文字で開けます。

名前で開けない・IP でも開けない:通信経路を確認する

\\IPアドレス では開けるのに \\NAS名 で開けないなら、名前解決の問題です。家庭の LAN では、NAS の名前をルーターの DNS が知らないことがよくあります。対処は次のどれかです。

  • ルーターの DHCP で NAS の IP アドレスを予約(固定)し、IP アドレスで割り当てる
  • 自宅で AdGuard Home などの DNS サーバーを動かしているなら、NAS の名前と IP アドレスの対応を登録する
  • その PC だけで良いなら、C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts に1行足す

IP アドレスでも開けないときは、PowerShell で 445 番ポート(SMB)まで届いているかを見ます。

Test-NetConnection -ComputerName 192.168.1.20 -Port 445

TcpTestSucceeded : True なら、SMB の入口までは届いています。次の認証へ進みます。False のときは、一緒に表示される PingSucceeded も見ます。

  • ping も通らない:IP アドレスの間違い、NAS の電源、PC が別の網(ゲスト SSID や別の VLAN)につながっていないかを確認します。NAS が ping に応答しない設定になっている場合もあります
  • ping は通るが 445 番だけ届かない:NAS 側で SMB(Windows ファイルサービス)が無効になっているか、NAS のファイアウォールで 445 番を閉じている可能性があります

認証を確認する:ゲスト接続と保存済みの資格情報

445 番に届いているのに開けないとき、多いのが認証です。特に、パスワードなし(ゲスト)で使っていた共有が、Windows の更新後に突然開けなくなるケースが目立ちます。

Windows 11 24H2 では、Pro 以上のエディションでゲスト接続が既定で無効になり、SMB の署名も必須になったとされています。このとき表示されるのが次のメッセージです。

組織のセキュリティ ポリシーによって非認証のゲスト アクセスがブロックされているため、この共有フォルダーにアクセスできません。

グループポリシーでゲストを許可し直す方法も紹介されていますが、私は NAS 側にユーザーとパスワードを作るほうを勧めます。ゲスト接続では署名ができないため、ゲストを許可しても署名の必須まで外さないとつながらないとされているからです。家族用の NAS なら、家族ごとにユーザーを作っておけば、あとでフォルダごとの権限も分けられます。

ユーザーを作ったのに開けないときは、Windows に保存された古い資格情報を疑います。

  • コントロールパネル > 資格情報マネージャー >「Windows 資格情報」に NAS の名前や IP アドレスが残っていれば削除し、つなぎ直す
  • ユーザー名は、Windows のサインインに使う Microsoft アカウント(メールアドレス)ではなく、NAS に作ったユーザー名を入れる。通らないときは NAS名\ユーザー名 の形も試す
  • 「複数のユーザー名での複数の接続は許可されません」(エラー 1219)は、同じ NAS へ別のユーザー名で二重につなごうとしたときに出ます。net use で今の接続を確認し、net use \\192.168.1.20\共有名 /delete で切ってからつなぎ直します

SMB のバージョンと署名を確認する

最後は、Windows と NAS が話す SMB の版(ダイアレクト)と署名です。つながっている共有があれば、PowerShell で何の版で話しているかを確認できます。

Get-SmbConnection | Select-Object ServerName, ShareName, UserName, Dialect

Dialect が 3.1.1 などになっていれば問題ありません。つながらないときに疑うのは次の2つです。

SMB1 しか話せない古い NAS:現在の Windows 10/11 では、SMB1 は既定で無効(または未インストール)とされています。まず NAS のファームウェア更新で SMB2 以降に対応できないかを確認します。「Windows の機能」から SMB 1.0 を戻す方法もありますが、脆弱性の多い古い方式なので私は勧めません。使うならデータを移す間だけにして、NAS の買い替えか自作を検討する時期です。

署名に対応していない NAS(Windows 11 24H2 以降):24H2 からは Windows 側が SMB の署名を必須にしたため、署名に対応していない NAS へつなぐと、エラーコード 0xc000a000(署名が無効)などで失敗するとされています。対処は NAS 側を優先します。

  • NAS の OS(DSM・OpenMediaVault・Samba)を最新にする
  • SMB の最小バージョンを SMB2 以上にし、署名に関する設定があれば有効にする
  • ゲストではなく、ユーザーとパスワードでつなぐ

Windows 側で、管理者として開いた PowerShell から Set-SmbClientConfiguration -RequireSecuritySignature $false を実行し、署名の必須を外す方法も紹介されています。ただし、これはその PC のすべての SMB 接続の保護を弱めます。NAS 側で直せないときの一時的な手段と考え、NAS を直したら $true に戻してください。

まとめ

  • まず \\IPアドレス で開けるかを試し、「一覧に出ない」「名前で開けない」「IP でも開けない」のどれかに分ける
  • 一覧に出ないだけなら NAS の WS-Discovery と、Windows のネットワークを「プライベート」に。名前で開けないなら IP の固定と DNS への登録
  • IP でも開けないときは Test-NetConnection で 445 番に届くかを見る
  • 届いているなら認証を疑う。24H2 以降はゲストが使えないので、NAS にユーザーを作り、古い資格情報を消す
  • 最後に SMB1 と署名。直すのは NAS 側を優先し、Windows 側で緩めるのは一時的にとどめる

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部長(本業: IT インフラ) 家でも同じことをして遊んでいます。記事は実機で試してから書き、失敗もそのまま載せます。