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TrueNAS SCALEのZFSプール構成はミラーかRAIDZ1か:ディスク台数と復旧のしやすさで決める

公開 2026-10-20読了 5 分

Photo: William Warby / Pexels

この記事でわかること
TrueNAS SCALEでZFSプールをミラーにするかRAIDZ1にするかを、ディスクの台数・使える容量・1台壊れたときの復旧のしやすさ・後からの増やし方で整理します。2〜4台の家庭用NASが前提です。

先に結論です。TrueNAS SCALE で家族用 NAS のプールを作るなら、迷ったらミラーにしておくのが無難です。RAIDZ1 は「3〜4 台で容量を最優先したい」「家の外にもバックアップがある」の 2 つがそろうときに選ぶ構成です。

  • 2 台ならミラー一択。RAIDZ1 は 3 台から
  • 4 台なら「ミラー 2 組」か「RAIDZ2」。RAIDZ1 は容量が一番多いぶん、1 台壊れたあとの余裕が一番少ない
  • 後から増やす・減らすときの自由度は、ミラーのほうが高い

なお、TrueNAS SCALE は 25.04 から名前が「TrueNAS」に一本化されています。2026 年 10 月時点の安定版は 25.10 系(25.10.7)で、この記事も 25.10 系を前提に書いています。

台数ごとの「使える容量」と「壊れてよい台数」

ZFS のプールは、vdev(ディスクの組)をいくつか束ねたものです。ミラーや RAIDZ1 は vdev の組み方の名前で、どれか 1 つの vdev が丸ごと壊れると、プール全体が読めなくなります。

台数構成使える容量壊れても大丈夫な台数
2 台ミラー1 台分1 台
3 台RAIDZ12 台分1 台
4 台ミラー 2 組2 台分1 台(別の組なら 2 台まで)
4 台RAIDZ13 台分1 台
4 台RAIDZ22 台分どの 2 台でも

8TB のディスク 4 台なら、ミラー 2 組と RAIDZ2 は約 16TB 分、RAIDZ1 は約 24TB 分です。画面の表示は TiB 換算やメタデータの分だけ、これより少なめに出ます。

4 台で比べると、RAIDZ1 は容量が 1.5 倍になる代わりに、1 台目が壊れた時点で余裕がなくなります。ミラー 2 組と RAIDZ2 は容量が同じですが、「どの 2 台が壊れても大丈夫」なのは RAIDZ2 だけです。ミラー 2 組は、同じ組の 2 台が続けて壊れるとプールごと失います。

ディスクは、ZFS と相性の良い CMR 方式のものを選びます。WD Red Plus や Seagate IronWolf が定番です。

復旧のしやすさ:1 台壊れたあとに何が起きるか

壊れたディスクを新しいものに交換すると、ZFS は残りのディスクから中身を作り直します。これをリシルバーと呼びます。ZFS は使っている部分だけを作り直すので、空き容量が多いうちは早く終わります。

ミラーと RAIDZ1 で違うのは、作り直すときに読むディスクの数です。

  • ミラー:相方の 1 台から写すだけ。ほかの組のディスクには負担がかからない
  • RAIDZ1:残りの全ディスクを読み、パリティから計算して作り直す。読む量が多く、時間もかかりやすい

どちらも、作り直しが終わるまでは「もう 1 台壊れてもよい」余裕がありません。この無防備な時間が RAIDZ1 のほうが長くなりやすい、というのが一番大きな差です。TrueNAS の資料(ZFS Primer)でも、RAIDZ1 は 1TiB を超えるディスクには推奨しないとされ、作り直しの間に別のディスクが壊れる可能性に触れています。今の NAS 用 HDD はほぼすべて 1TiB を超えるので、大容量ディスクならミラーか RAIDZ2 を、というのが TrueNAS 側の考え方だと読めます。

作り直しの途中で読めない箇所が見つかった場合、ZFS はプール全体を諦めるのではなく、その箇所を含むファイルを「壊れたファイル」として一覧に出すとされています。とはいえ家族の写真が 1 枚でも欠けるのは困るので、RAIDZ1 を選ぶなら別の場所のバックアップが前提です。

後から増やす・減らすときの違い

数年使うと、容量を足したくなります。ここでもミラーのほうが選択肢が多いです。

やりたいことミラーRAIDZ1
1 台だけ足すできない(2 台 1 組で足す)24.10 以降は「Extend」で 1 台ずつ足せる
大きいディスクに替えて増やすその組の 2 台を替えれば増えるvdev の全台を替えるまで増えない
vdev を取り外すできる(残りに空きがあれば)できない

RAIDZ の Extend は TrueNAS 24.10 から使えるようになった機能で、作業中もプールは使えます。ただし、すでに書いてあるデータは元の比率のままなので、最初から同じ台数で作った RAIDZ より容量が少なめに表示されます。壊れてよい台数も変わりません。3 台の RAIDZ1 を 5 台に広げても、壊れてよいのは 1 台のままです。そして、RAIDZ1 を後から RAIDZ2 に変えることはできません。最初に選んだ段階が、そのプールを使う間ずっと残ります。

ミラーは「2 台 1 組」で足していく形なので、1 台ずつは増やせません。その代わり、組ごとに大きいディスクへ 1 台ずつ替え、2 台とも替え終わったところで容量を広げられます。

もう 1 つの注意は、既存のプールにディスク 1 台だけを「Stripe」として足さないことです。冗長性のない vdev になるので、その 1 台が壊れるとプール全体が読めなくなります。容量を増やしたい一心で、確認の画面を読み飛ばさないようにします。

台数別の選び方

  • 2 台:ミラー。迷う余地はありません
  • 3 台:容量が欲しければ RAIDZ1。ただし家の外にバックアップを置く。私なら、2 台をミラーにして残り 1 台を外付けのバックアップ用に回す案とも比べます
  • 4 台:復旧と増設のしやすさならミラー 2 組、どの 2 台が壊れても守りたいなら RAIDZ2。RAIDZ1 は容量優先で、バックアップがあるときだけ
  • 5 台以上:RAIDZ2 を基本に考える

ミラー 2 組は、プール作成画面の「Data」の段階で Layout に「Mirror」を選び、Width(1 組の台数)を 2、Number of VDEVs(組の数)を 2 にすると作れます。

どの構成を選んでも、守れるのは「ディスクが壊れたとき」だけです。うっかり消した、ランサムウェアに暗号化された、NAS ごと壊れた、には効きません。スナップショットと、家の外のバックアップは別に用意します。

まとめ

  • 2 台はミラー。RAIDZ1 は 3 台から
  • RAIDZ1 は容量が一番多いが、1 台壊れたあとの作り直しで残り全部を読むぶん、無防備な時間が長い。TrueNAS の資料でも大容量ディスクでは推奨されていない
  • 4 台なら、復旧と増設のしやすさでミラー 2 組、どの 2 台でも守るなら RAIDZ2
  • RAIDZ は 24.10 以降 1 台ずつ足せるが、RAIDZ1 から RAIDZ2 には変えられない
  • どの構成でも、家の外にもう 1 つバックアップを置く

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部長(本業: IT インフラ) 家でも同じことをして遊んでいます。記事は実機で試してから書き、失敗もそのまま載せます。