TrueNAS SCALEのZFSプール構成はミラーかRAIDZ1か:ディスク台数と復旧のしやすさで決める

Photo: William Warby / Pexels
先に結論です。TrueNAS SCALE で家族用 NAS のプールを作るなら、迷ったらミラーにしておくのが無難です。RAIDZ1 は「3〜4 台で容量を最優先したい」「家の外にもバックアップがある」の 2 つがそろうときに選ぶ構成です。
- 2 台ならミラー一択。RAIDZ1 は 3 台から
- 4 台なら「ミラー 2 組」か「RAIDZ2」。RAIDZ1 は容量が一番多いぶん、1 台壊れたあとの余裕が一番少ない
- 後から増やす・減らすときの自由度は、ミラーのほうが高い
なお、TrueNAS SCALE は 25.04 から名前が「TrueNAS」に一本化されています。2026 年 10 月時点の安定版は 25.10 系(25.10.7)で、この記事も 25.10 系を前提に書いています。
台数ごとの「使える容量」と「壊れてよい台数」
ZFS のプールは、vdev(ディスクの組)をいくつか束ねたものです。ミラーや RAIDZ1 は vdev の組み方の名前で、どれか 1 つの vdev が丸ごと壊れると、プール全体が読めなくなります。
| 台数 | 構成 | 使える容量 | 壊れても大丈夫な台数 |
|---|---|---|---|
| 2 台 | ミラー | 1 台分 | 1 台 |
| 3 台 | RAIDZ1 | 2 台分 | 1 台 |
| 4 台 | ミラー 2 組 | 2 台分 | 1 台(別の組なら 2 台まで) |
| 4 台 | RAIDZ1 | 3 台分 | 1 台 |
| 4 台 | RAIDZ2 | 2 台分 | どの 2 台でも |
8TB のディスク 4 台なら、ミラー 2 組と RAIDZ2 は約 16TB 分、RAIDZ1 は約 24TB 分です。画面の表示は TiB 換算やメタデータの分だけ、これより少なめに出ます。
4 台で比べると、RAIDZ1 は容量が 1.5 倍になる代わりに、1 台目が壊れた時点で余裕がなくなります。ミラー 2 組と RAIDZ2 は容量が同じですが、「どの 2 台が壊れても大丈夫」なのは RAIDZ2 だけです。ミラー 2 組は、同じ組の 2 台が続けて壊れるとプールごと失います。
ディスクは、ZFS と相性の良い CMR 方式のものを選びます。WD Red Plus や Seagate IronWolf が定番です。
復旧のしやすさ:1 台壊れたあとに何が起きるか
壊れたディスクを新しいものに交換すると、ZFS は残りのディスクから中身を作り直します。これをリシルバーと呼びます。ZFS は使っている部分だけを作り直すので、空き容量が多いうちは早く終わります。
ミラーと RAIDZ1 で違うのは、作り直すときに読むディスクの数です。
- ミラー:相方の 1 台から写すだけ。ほかの組のディスクには負担がかからない
- RAIDZ1:残りの全ディスクを読み、パリティから計算して作り直す。読む量が多く、時間もかかりやすい
どちらも、作り直しが終わるまでは「もう 1 台壊れてもよい」余裕がありません。この無防備な時間が RAIDZ1 のほうが長くなりやすい、というのが一番大きな差です。TrueNAS の資料(ZFS Primer)でも、RAIDZ1 は 1TiB を超えるディスクには推奨しないとされ、作り直しの間に別のディスクが壊れる可能性に触れています。今の NAS 用 HDD はほぼすべて 1TiB を超えるので、大容量ディスクならミラーか RAIDZ2 を、というのが TrueNAS 側の考え方だと読めます。
作り直しの途中で読めない箇所が見つかった場合、ZFS はプール全体を諦めるのではなく、その箇所を含むファイルを「壊れたファイル」として一覧に出すとされています。とはいえ家族の写真が 1 枚でも欠けるのは困るので、RAIDZ1 を選ぶなら別の場所のバックアップが前提です。
後から増やす・減らすときの違い
数年使うと、容量を足したくなります。ここでもミラーのほうが選択肢が多いです。
| やりたいこと | ミラー | RAIDZ1 |
|---|---|---|
| 1 台だけ足す | できない(2 台 1 組で足す) | 24.10 以降は「Extend」で 1 台ずつ足せる |
| 大きいディスクに替えて増やす | その組の 2 台を替えれば増える | vdev の全台を替えるまで増えない |
| vdev を取り外す | できる(残りに空きがあれば) | できない |
RAIDZ の Extend は TrueNAS 24.10 から使えるようになった機能で、作業中もプールは使えます。ただし、すでに書いてあるデータは元の比率のままなので、最初から同じ台数で作った RAIDZ より容量が少なめに表示されます。壊れてよい台数も変わりません。3 台の RAIDZ1 を 5 台に広げても、壊れてよいのは 1 台のままです。そして、RAIDZ1 を後から RAIDZ2 に変えることはできません。最初に選んだ段階が、そのプールを使う間ずっと残ります。
ミラーは「2 台 1 組」で足していく形なので、1 台ずつは増やせません。その代わり、組ごとに大きいディスクへ 1 台ずつ替え、2 台とも替え終わったところで容量を広げられます。
もう 1 つの注意は、既存のプールにディスク 1 台だけを「Stripe」として足さないことです。冗長性のない vdev になるので、その 1 台が壊れるとプール全体が読めなくなります。容量を増やしたい一心で、確認の画面を読み飛ばさないようにします。
台数別の選び方
- 2 台:ミラー。迷う余地はありません
- 3 台:容量が欲しければ RAIDZ1。ただし家の外にバックアップを置く。私なら、2 台をミラーにして残り 1 台を外付けのバックアップ用に回す案とも比べます
- 4 台:復旧と増設のしやすさならミラー 2 組、どの 2 台が壊れても守りたいなら RAIDZ2。RAIDZ1 は容量優先で、バックアップがあるときだけ
- 5 台以上:RAIDZ2 を基本に考える
ミラー 2 組は、プール作成画面の「Data」の段階で Layout に「Mirror」を選び、Width(1 組の台数)を 2、Number of VDEVs(組の数)を 2 にすると作れます。
どの構成を選んでも、守れるのは「ディスクが壊れたとき」だけです。うっかり消した、ランサムウェアに暗号化された、NAS ごと壊れた、には効きません。スナップショットと、家の外のバックアップは別に用意します。
まとめ
- 2 台はミラー。RAIDZ1 は 3 台から
- RAIDZ1 は容量が一番多いが、1 台壊れたあとの作り直しで残り全部を読むぶん、無防備な時間が長い。TrueNAS の資料でも大容量ディスクでは推奨されていない
- 4 台なら、復旧と増設のしやすさでミラー 2 組、どの 2 台でも守るなら RAIDZ2
- RAIDZ は 24.10 以降 1 台ずつ足せるが、RAIDZ1 から RAIDZ2 には変えられない
- どの構成でも、家の外にもう 1 つバックアップを置く
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