自宅サーバーのシステム用SSDはTLCを選ぶ:TBWの読み方と容量の決め方

Photo: Andrey Matveev / Pexels
先に結論です。24 時間動かす自宅サーバーの「システム用 SSD」(OS と VM・コンテナを置く 1 台目)は、TLC 方式で、1TB あたり 600TBW 以上のものを選んでおくと安心です。QLC は容量単価が安いぶん書き込みに弱いので、写真や動画の置き場に回します。
- TBW は「壊れる量」ではなく「保証が切れる書き込み量」
- 自分のサーバーが 1 日に何 GB 書くかは、smartctl で 1 週間あけて 2 回見ると分かる
- 容量は「置くものの倍」が目安。同じシリーズなら容量が大きいほど TBW も増える
TBW は「保証が切れる書き込み量」
TBW(Terabytes Written)は、その SSD に合計で何 TB 書き込むまでをメーカーが保証するか、という数字です。保証の条件は多くの場合「5 年または TBW に達するまでの、早いほう」です。TBW に達した瞬間に壊れるわけではありませんが、そこから先は保証の外になります。
1TB クラスの主な製品を並べると、次のとおりです(メーカー公表値)。
| 製品 | 方式 | 1TB の TBW | 保証 |
|---|---|---|---|
| WD Red SN700 | TLC | 2,000TB | 5 年 |
| Samsung 990 PRO | TLC | 600TB | 5 年 |
| Crucial T500 | TLC | 600TB | 5 年 |
| Samsung 870 EVO(SATA) | TLC | 600TB | 5 年 |
| Samsung 870 QVO(SATA) | QLC | 360TB | 3 年 |
| Crucial P3 Plus | QLC | 220TB | 5 年 |
同じ 1TB でも、TLC と QLC で TBW に 2〜3 倍の差があります。WD Red SN700 は NAS のキャッシュ用に作られた製品で、TLC の中でも TBW が高めです。
TBW を容量と保証年数で割ると、DWPD(1 日に容量の何倍まで書いてよいか)になります。600TBW・1TB・5 年なら 600 ÷ (1 × 365 × 5) ≒ 0.33 で、「毎日 330GB ずつ書いても 5 年もつ計算」と読めます。
システム用に TLC を選ぶ理由
システム用 SSD には、量は少なくても休みなく書き込みが続きます。ログ、コンテナのデータベース、VM のディスク、それに Proxmox VE なら設定を保存する仕組み(pmxcfs)が、VM が止まっていても少しずつ書き込むとされています。
QLC は 1 つのセルに 4 ビットを詰めるぶん、書き換えに耐えられる回数が少なく、表の TBW の差もそこから来ています。もう 1 つの弱点は速度です。多くの製品は空き領域の一部を SLC キャッシュとして使い、それを使い切ると書き込み速度が大きく落ちるとされています。VM のバックアップや更新が重なる時間帯に、これが効いてきます。
Proxmox VE の公式の要件ページでは、停電時に書きかけのデータを守る PLP(Power-Loss-Protection)付きの SSD が推奨され、一般向け SSD は勧められていません。とはいえ自宅で業務用を買うのは負担が大きいので、私は「一般向けの中でも TLC で、DRAM キャッシュ付き」を現実的な線にしています。表の TLC 4 製品は DRAM キャッシュ付き、P3 Plus は DRAM なしの製品です。
候補としては、NVMe なら Samsung 990 PRO や Crucial T500、2.5 インチベイしかない機種なら Samsung 870 EVO です。
自分のサーバーの書き込み量を測る
必要な TBW は、使い方で大きく変わります。一般論より、今動いているサーバーで測るのが確実です。
sudo apt install smartmontools
sudo smartctl -a /dev/nvme0
NVMe の SSD なら、出力のうち次の 2 行を見ます。
- Percentage Used:寿命の何 % を使ったか(メーカーの推定)。100 を超えても表示は続く
- Data Units Written:これまでに書いた量。1 単位が 512,000 バイトで、smartctl は後ろの [ ] に TB 換算を出してくれる
Data Units Written を 1 週間あけて 2 回記録し、差を 7 で割ると 1 日あたりの書き込み量になります。Proxmox VE なら、ノードの「ディスク」画面にも、Percentage Used を元にした消耗度(英語表示では Wearout)の列があります。
たとえば 1 日 50GB 書くなら、年に約 18TB です。600TBW の SSD なら 30 年以上かかる計算で、寿命の心配はほぼありません。1 日 300GB なら年に約 110TB で、600TBW は 5 年半ほど、220TBW の QLC は 2 年ほどで保証の上限に届きます。
注意したいのは、Data Units Written が「サーバーが SSD に送った量」だという点です。SSD の中で余計に書き直される分は入りません。中の消耗は Percentage Used のほうに出るので、2 つを並べて見ておきます。
容量の決め方
容量は、置くものの合計の倍くらいを目安にします。
- Ubuntu Server と Docker だけ:500GB で足りることが多い
- Proxmox VE で VM・コンテナを数台:1TB
- Windows の VM や大きめのデータベースも置く:2TB
容量を大きくするのは、置き場所のためだけではありません。同じシリーズなら容量が大きいほど TBW も増え(990 PRO は 1TB で 600TB、2TB で 1,200TB)、同じ書き込み量でも消耗が分散します。空きが少ないと SSD 内部の整理の効率が落ちるとも言われるので、2 割ほどは空けておきたいところです。
写真や動画の置き場は、システム用とは分けます。ここは書き込みが少なく読み出しが中心なので、容量単価の安い QLC や HDD が向いています。
TLC かどうかの見分け方
方式は、メーカーの仕様表に書かれていないことがよくあります。製品名で分かる場合(Samsung の「QVO」は QLC)もありますが、確実なのはレビュー記事で使われている NAND を確認することです。同じ型番のまま中の部品が変わった例も過去に報じられているので、買う前に「型番+TLC」で最近の情報を検索しておくと安心です。
方式がはっきりしないときも、TBW はほぼ必ず仕様表に載っています。「1TB あたり 600TB 以上」を最低ラインにしておけば、大きく外すことはありません。
まとめ
- システム用 SSD は TLC・DRAM キャッシュ付きを選ぶ。QLC はデータ置き場に回す
- TBW は保証が切れる書き込み量。1TB あたり 600TB 以上を目安にする
- 必要な TBW は、smartctl の Data Units Written を 1 週間あけて 2 回見ると分かる
- 容量は置くものの倍。容量が大きいほど TBW も増え、消耗が分散する
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